2026/02/02

年末調整・確定申告 — 知っておきたい「お金」の知識と解決方法

1. 導入:給与所得者のための「お金の手続き」基礎知識

多くの会社員にとって、秋から冬にかけて回ってくる「年末調整」の書類提出は、年中行事の一つとして定着しています。しかし、その一方で「確定申告」となると、「自分には関係ない」「難しそうでよくわからない」と、どこか遠い存在に感じてしまう方も少なくありません。

実は、この二つの制度を正しく理解しておくことは、単にルールを守るためだけでなく、皆さんの大切なお金を守るために極めて重要です。日本の所得税制度は、自ら申告することで初めて適用される「控除(税金の割引)」が多く存在します。もし、確定申告が必要なケースを知らずに放置していれば、本来払う必要のない税金を払い続けたり、逆に無申告によるペナルティを受けたりするリスクがあるのです。

本記事では、会社員が知っておくべき「年末調整」と「確定申告」の根本的な違いから、どのような場合に確定申告が必要(あるいは有利)になるのか、その具体的な条件と実務のポイントを2500字以上の大ボリュームで徹底解説します。

2. 【基本】「年末調整」と「確定申告」の違いを整理する

まずは、両者の役割を明確にするために、以下の比較表で全体像を把握しましょう。

項目年末調整(会社が行う手続き)確定申告(本人が行う手続き)
目的毎月の源泉徴収税の過不足精算1年間の所得と税額の最終決定・精算
対象者原則、会社に勤務し給与を得る人個人事業主、副業所得者、高所得者、還付を受けたい人
時期毎年11月~12月頃翌年2月16日~3月15日
手続き主体勤務先の企業(会社)納税者本人
対象所得その会社から支払われる給与のみ給与、副業、不動産、株などすべての所得

なぜ二つの制度があるのか?

日本の所得税は「申告納税制度」が基本です。本来は、国民一人ひとりが自分で1年間の所得を計算し、税金を納めるのが原則です。しかし、数千万人にのぼる会社員全員が一度に税務署へ押し寄せると、窓口がパンクしてしまいます。

そこで導入されているのが「源泉徴収」と「年末調整」です。会社が毎月の給与から概算の税金を天引きし(源泉徴収)、年末に正確な金額を再計算して精算する(年末調整)ことで、ほとんどの会社員は確定申告をせずに済むようになっています。

しかし、ここで注意が必要なのは、「会社はあなたのプライベートな収支(副業や多額の医療費、寄付など)までは把握できない」ということです。会社でカバーしきれない部分については、自分自身で「確定申告」を行う必要があるのです。

3. あなたはどちら?「確定申告が必要」または「確定申告が有利」なケース

年末調整だけで終わらせていい人と、そうでない人の境界線はどこにあるのでしょうか。大きく分けて「義務として申告が必要な人」と「申告すると得をする(還付される)人」の2パターンがあります。

①【必須ケース】確定申告が義務付けられる人

以下の条件に当てはまる場合、法律上、確定申告を行う義務があります。

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える場合:年収が2,000万円を超えると、会社での年末調整の対象外となります。そのため、自身で全ての所得を計算して申告しなければなりません。

  • 給与以外の所得(副業・不動産など)の合計が20万円を超える場合:最近増えている「副業」をしている方は特に注意です。Uber Eatsなどの配達員、クラウドソーシングでの業務委託、ブログの広告収入など、経費を差し引いた「所得」が年間20万円を超えると申告義務が生じます。

  • 2か所以上の会社から給与を受け取っている場合:メインの会社(甲欄)以外から受けているサブの給与(乙欄)があり、その合計額が一定基準を超える場合も、合算して再計算する必要があります。

②【還付申告ケース】確定申告をすると税金が戻ってくる可能性が高い人

こちらは義務ではありませんが、申告しないと「払いすぎた税金が戻ってこない」ため、実質的に損をしてしまうケースです。

  • 多額の医療費を支払った(医療費控除):本人や生計を一にする家族のために、年間10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超える医療費を支払った場合、その超過分が所得から控除されます。通院の交通費なども対象になるため、領収書は必ず保管しておきましょう。

  • 初めて住宅ローン控除を適用する場合:マイホームを購入して住宅ローンを組んだ場合、2年目以降は年末調整で処理できますが、「最初の1年目」だけは必ず自分で確定申告を行う必要があります。

  • ふるさと納税をした(ワンストップ特例を利用しない場合):寄付先が5自治体を超えた場合や、医療費控除などで確定申告を別途行う場合は、ワンストップ特例が使えません。申告書に寄付金控除を記載し忘れると、寄付した金額がただの持ち出しになってしまうので注意が必要です。

  • 年の途中で退職し、再就職していない場合:年の途中で仕事を辞めると、会社は年末調整を行えません。毎月の給与から天引きされていた源泉徴収税は、そのままでは「払いすぎ」の状態であることが多いため、確定申告をすることで還付金を受け取れる可能性が非常に高いです。

4. 実務のヒント:確定申告をスムーズに進めるための準備

確定申告は「面倒」というイメージが強いですが、事前の準備さえしっかりしていれば、現在はスマートフォン一つでも簡単に完結できるようになっています。

必要書類を早めに整理する

確定申告の時期になってから慌てないよう、以下の書類を一つのファイルにまとめておく習慣をつけましょう。

  1. 源泉徴収票: 会社から12月〜1月頃に配布されます。これがすべてのベースになります。
  2. 控除証明書: 生命保険、地震保険、iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)などの証明書。10月頃からハガキで届き始めます。
  3. 領収書・支払調書: 医療費の領収書や、副業先から発行される支払調書など。
  4. マイナンバーカード: 電子申告(e-Tax)を行う際に必須となります。

還付申告は「5年前」まで遡れる

「去年の医療費控除を忘れていた!」という場合でも、諦める必要はありません。税金を戻してもらうための「還付申告」は、その年の翌年1月1日から5年間提出することが可能です。過去の領収書が出てきたら、今からでも申告を検討してみましょう。

申告時の落とし穴:「全所得」の合算が必要

確定申告を行う際によくあるミスが、「副業分だけを申告すればいい」と思い込んでしまうことです。確定申告は、「年末調整済みの給与所得」も含めたすべての所得を改めて合算し、1年間の最終的な税額を出し直す作業です。そのため、申告書には必ず会社から受け取った源泉徴収票の内容も記載しなければなりません。

5. まとめ:正確な知識が、あなたの「お金」を守る

「年末調整」と「確定申告」は、どちらも私たちの生活に密接に関わる大切な仕組みです。会社任せにできる部分は任せつつも、自分自身の状況(家族構成の変化、住宅の購入、副業の開始、健康状態など)に合わせて、自らアクションを起こすことが現代の会社員には求められています。

税金の手続きを「難解な義務」と捉えるのではなく、「自分の資産を守るための権利」と捉え直してみてください。医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除といった制度を賢く利用することで、手元に残るお金は確実に変わります。

まずは、手元にある源泉徴収票をじっくり眺めることから始めてみましょう。「自分はどのくらい税金を払っているのか?」「受けられる控除を漏らしていないか?」という小さな関心が、将来の大きな安心へとつながります。

もし判断に迷う場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のシミュレーションを利用したり、最寄りの税務署の相談窓口を活用したりするのも手です。正しい知識を身につけ、賢く納税と向き合っていきましょう。

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